教科書に載っていない良い職場とは その39 【忠義】

「自分自身の良心を主君の気まぐれな意思や酔狂や妄想のために犠牲にする者に対し、武士道では低い評価が与えられた。こんな人間は「佞臣」すなわち節操のない、へつらいでご機嫌をとろうとする卑劣な家臣として、または「寵臣」すなわち奴隷的追従によって主君の寵愛を盗み取ろうとする家臣として軽蔑された。」

これは武士道 山本博文訳の一説です。

現代社会においても、組織に対する忠誠心といったものが日本人には問われているような気がします。

武士道の中ではこのようにも言っています。

「臣下が主君と意見を異にする彼がとるべき忠義の道は、あらゆる手段を尽くして主君に諫言する事にあった。それが容れられない時は主君の思うままに自分を処罰させる」

この後、武士であれば「切腹」といった行為にも及ぶのかもしれませんが、主題からははずれるので論じません。

さて、良くサラリーマンの家庭からはこのような声が聞こえて来ます。

「家庭と仕事」「私(子供)と仕事」のどっちを取るの?

これは日本人の奥底にある【忠義】の精神からも非常に判断の難しい事なのかもしれません。

生命は主君に使える為の手段であり、その理想は名誉であった武士の世界から学ぶ事は、その美しいまでも洗練された【忠義】なのかもしれません。

現在でも「帰属意識」といった言葉はありますが、かなり希薄な言葉となってしまいました。

何のために働くのか?

働くとは何なのか?

報酬とは何なのか?

その意味を見いだせない人にとっては、それらを理解する事は一生かかっても出来ないと思います。

良い職場には【忠義】を臆する事無く発言出来る社員が必要です。