経営者には哲学が必要だと言われます。
そういったものが無いと、流行や儲け話に簡単に心を揺るがされてしまいます。
ゲーム理論が流行ると成果主義を導入した会社の様にです。
ゲーム理論は、最適な戦略が相互に依存し、相手の戦略を読み合う必要が生じるような状況を分析対象としていて、競合他社との戦略合戦の中では有効な事があっても、業界がそのまま良くなっていく事を示していません。
また、個人の成果を最大化すると、全体の成果が最大化するとの考え方もその根底にあります。
方法としては、成果主義を取り入れる事はあると思いますが、ゲーム理論の特性を理解していないと、こんなはずでは無かったとなります。
ゲーム理論は、自分が利益を得ようとすると、相手や周囲は敵対的な行動を取る事を説明しています。
ナッシュが見つけた「ナッシュ均衡」では、お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマが存在するとしています。各個人が合理的に選択した結果(ナッシュ均衡)が社会全体にとって望ましい結果(パレート最適)にならないので、社会的ジレンマとも呼ばれるようです。
その点を考慮しないで、ゲーム理論の代名詞的な成果主義を導入すれば、うまくいかないのは自明の理です。
風土改革を行って行きたい会社にはまったくそぐわない評価システムと言わざるを得ません。
ナッシュの研究から、我々は協力する事で大きな成果を得られることを見出す事が出来ます。
昔から日本でも良い言葉がありました。
「他人に施せ」です。
例えば、営業で大変効率的ですばらしい方法を見つけたとします。
その方法を社内に広め、全員で成果を最大化する事に注力した場合はどうでしょうか?
個々が成果を最大化するよりも、全体で成果が最大化する感じがしませんか?
利益を最大化したいのなら、まずは他人に施せです。
それが組織の哲学にも有用です。
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