「競合相手と競争をしない」
皆さんも一度はマイケル・E・ポーターという方の著書を手にとった事があるかもしれません。
「本当の競争とは競合相手だけとするものでは無く、もっと多面的なものである」
なるほど!!
とかく体育会系の私はライバルと切磋琢磨しどのようにライバルを超えるかを考えがちです。
しかし、ポーターは違うと言っています。
なぜなら、「(競合)戦略とは何をやらないかを決めることである」とポーターはしているからです。
これだと競合他社がどうのこうのと言う議論にはなりずらい。
自社は何を目指しているのか?そしてそこに向かう為に何をやらないのか?
とかく競合他社からみて劣っている点をどのように改善していこうかと考えがちですが、それを考えてばかりいると限られた経営資源をうまく配分する事が出来ません。
その場合、シンプルな考え方として何をやらないか?を経営の判断基準にしている事でスピード感もあがっていくはずです。
具体的に説明します。
例えば皆さんがレストランを経営していたとします。ライバル店がとなりにあります。そちらは大手チェーン店でメニューの多さや営業時間等で大きく差をつけられています。
もし皆さんがそのライバル店と同じ戦略をとろうと思えば、メニューの充実、営業時間の拡大をしなければならないと考えがちです。
しかしポーターの戦略から言えば、競合相手は意識せずに自社の戦略を構築するべきとしています。
「何をやらないのか?」
そう考えると、自社の強み(売り)は何なのかをわかっている(知っている)必要があります。
その強みを伸ばす方法として、メニュー充実や営業時間拡大をする必要があれば選択肢として考えなくてはなりませんが、ほとんどの場合強みとは関係が無い事が多いです。
自社の強みが「新鮮食材・無農薬野菜などを使った欧風家庭料理」であり、経営理念が「第二の食卓を目指す」といったケースであれば、メニュー充実、営業時間拡大といった戦略はやらない戦略となります。
家庭の他に「第二の食卓」を提供する訳ですのでとる戦略は変わりますよね。
例えば、理念に沿ったメニューを考える場合、日頃忙しいお母さんに対して栄養をつけてもらえる「お母さんありがとうセット」、週末だけの特別メニュー「来週もお父さん頑張ってねセット」、季節限定メニュー「食べたい野菜が選べる旬野菜のコトコトポタージュ」などがメニューとして考えられる訳です。
これなら多くのメニューを増やす必要もありません。またメニューを増やした場合、食材を蓄えておかなければならない為、鮮度が落ちてしまいます。これでは強みが無くなってしまいます。
また「第二の食卓」を目指すのですから、営業時間は通常の食事時間にすれば問題はありません。24時間営業になどする必要もないんですね。
こうして考えてみると、色々な戦略の中から「何をやらないか?」を決める作業は簡単に思えるかもしれませんが、実はすごく難しい事の方が多いです。
戦略にはどれも一長一短(メリット・デメリット)があるからです。実際には迷う場面が多くなります。
しかし自社の理念を念頭に置き、戦略を構築する事でこれらの迷いは軽減します。もしそれでもまったく暗中模索な場合は理念が間違っている(進むべき理念になっていない)と思います。
ナレッジマネジメントと通ずるところがありますが、戦略とは必ずしもこれで良いといったものが無い中で「やらない決断の判断基準を持つ」と言う事は企業にとって、とても重要な戦略なのではないでしょうか?
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